トップページには以下のように書かれています。
中国四千年の神話、「洛書」の「神亀の図」から天子(皇帝)の数として長年大吉数して崇められてきた “ 9(九) ” を尊重すると、不思議に “ 健康 ” にして “ 賢い ” 人に成長していきます。
永年、国家公務員として勤務の傍ら、東洋哲学・歴史学・言語学・音声学等について余暇を利用して研究。
独自に開発した “ 天命数霊術 ” によって、驚異的に成長が早い赤ちゃんの命名や改名をいたします。
なお、この説は “ 占い ” や “ 宗教 ” ではありません。人文科学的な根拠にもとづいたものです。
ここに書かれている「人文科学的な根拠」とは「神亀の図」から来ているようです。
さて、この「神亀の図」とはなんでしょうか。
「神亀の図」が描かれている洛書は漢王朝時代に作られました。前漢から後漢にかけて作られたそうなので西暦8年前後に記されたと予想できます。当時盛んだった儒教において八卦の起源とされ重視されていました。儒家の経書を神秘主義的に解釈した書物である緯書によると「洛水から現れた亀の背に文があり、洛書はその背にあった文。」だそうです。亀の甲羅にあった文章だそうです。怪しさ満天です。
宋王朝に時代が移ると儒教から新しい学問体系として再構築された朱子学において洛書は図像と解されるようになり、陰陽を表す黒点と白点の数によって示されました。これがいわゆる九数図(神亀の図)というわけです。これは長らく信じられました。
時代は移って清王朝時代(1636-1912)になると「考証学」という学問が盛んになりました。「考証学」とは諸事の根拠を明示して論証する学問のことを言います。望月岳陽が天命数霊術のトップページで書いている「人文科学的な根拠にもとづいたもの」の考え方と通じますね。そしてこの「考証学」の学者たちが「洛書は宋代に捏造された根拠のない代物」であることを「証明」してみせたのです。「神亀の図」は宋代の朱子学の解釈によって作成されたましたが、それには根拠がないと批判して、その証拠を提示してみせたのです。嘘だと思うなら当時の学者「胡渭」が記した「易図明辯」を読んでみてください。ちゃんと記載されていますよ。
以上の事実から「神亀の図」はその発祥の地である中国ですらカビの生えたゴミ屑なのです。その「神亀の図」をもとにして9が吉数などと言っちゃう辺りは、「30年間おつかれさま」と労うことやぶさかでないです。
さらに言うならば古代から中国では「9」を「ジュー」と発音し「久」と同じ発音で「永遠」の意味を表したり、偶数を陰数、奇数を陽数として奇数の中で最大数の9が特に好まれていました。漢代から9月9日が重陽の節句として縁起のよい日とされたのはそのためです。9は日本では「苦」を連想して嫌われていますが中国では人気のあるおめでたい数字というわけです。つまり中国で9が良いとされるのは日本で9が嫌がられる理由と大差ないということです。古代から中国で9が用いられてきたのもこうしたゲンを担ぐためであり、間違っても「神亀の図」の頭が9だからではありません。
なんか岳陽爺さんブログもやっているようです。あとで覗いてみよう。